Favorit Album Selection12
FATHER'S SON(1988) 浜田省吾
一時期、浜田省吾ばかりを聴いていた時期があった。
カラオケに行っても彼の歌を選んで歌っていた。
自分の声質が合っていたのもある。
「路地裏の少年」「風を感じて」「J.BOY」「想い出のファイヤー・ストーム」
決して誰もが口ずさむような歌ばかりではない。
だけど、何となく聞いたことがある、知っている…。そんな曲が
浜田省吾は多い。
彼の曲は一言でいうと日本語で“ロック”を感じさせてくれる数少ない
アーティストだ。だがその根底にあるものは硬い、硬質だ。
このアルバムのテーマは「戦後のアメリカと日本」。
広島で被爆した父の子として生まれた浜田自身が、過ごした時代を
リアリティ溢れる歌詞、研ぎすまされたアレンジで投影している作品だ。
もちろん、そういう背景をなしに聞いても充分クオリティが高い。
オープニングの「Blood Line (フェンスの向こうの星条旗)」、
それに続く「Rising Sun (風の勲章)」はこのアルバムを象徴する2曲。
ハッキリ言ってこの2曲を聴くためだけに、このアルバムを買っても
値段以上の価値があると断言する。
アメリカという国が戦後、日本の父、母であった…というのは
ある意味間違いではないと私は思う。
その巨大な姿に追いつく、追い抜くために我々の父と母の世代は
頑張ってきたのではないか…それは無意識のうちにとは思うが。
そうして、経済大国になった日本。
だがこの時、彼が歌ったフレーズは当時から今は良いかもしれないけど
将来どうなるか分からない警鐘も鳴らしていた。
“飽和した都会 集う家は遠く ブラウン管の前でしか笑わぬ子供”
「Darkness In The Heart (少年の夏)」は彼のミュージシャンとしての
自伝的な曲。今も彼が叫ぶ歌は永遠に“答の無い心の奥の暗闇”。
「What's The Matter, Baby?」はこの頃の企業戦士の悲哀を歌った曲。
“括れた足首のOL達の腰つき”というフレーズは少しエロチックで
良い感じ(笑)。Work-a-hol-icという言葉もこの曲で覚えたなあ。
「I Don't Like Friday (戦士の週末)」は結婚する友人に対して
これから金曜の夜は一緒に飲めなくなるな…、少し羨ましいけどそれは
表立って言いたくはない、強がっているような男を歌っているのかな。
“情け無いぜ 武器を捨てて幸福かい”というのは、それまでの
歌詞の流れを読むと「幸福」よりも「降伏(女性に対して)」の
方がピッタリくるのだが…。
余談だが、森高千里の「気分爽快」はこの曲の女性版だと思っている。
同性同士で飲んでいるのは同じで共に彼女(彼)のことを知っているが、
浜田は“地下鉄ならまだ走ってるはずさ グラス空にしたら もう行きな”
森高は“飲もう 今日はとことん付き合うわよ”と歌っている。
ここから分かることは…「男は独りでも飲める、女は独りでは飲めない」
…ってそんなこと分析してどうする(笑)。
ま、聴き比べてみるのも面白いかも。
「A Long Goodbye (長い別れ)」や「New Year's Eve」のような
珠玉のバラードを上手くカラオケで女性の前で歌うと、明日から
熱い視線を背中に感じるかも…保証はできませんが(笑)。
いろいろと悲しい事件、出来事が立て続けにおこるこの国。
今一度、思い返さないといけない時期なのかも知れない。
“過ぎ去った昔の事と 子供達に 何ひとつ伝えずに
この国 何を 学んできたのだろう”
12月9日 今日は私の愛すべき父の誕生日。
“I'm a Father's Son”
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