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Favorit Album Selection13

甲斐バンド・ストーリー(1979) 甲斐バンド

甲斐バンドは私にとって、生涯付き合っていきたいバンドのひとつだ。
男っぽくて切なく、ガラスのような美しさ、鋭さ、脆さが同居した音…。
少年期、人間形成の上において彼らの音楽をリアルタイムで感じたことは、
今の私の人生においてとてつもなく大きな財産になっている。

今回紹介するこのアルバムは、1979年に発表された彼らの
当時の足跡を示すようなベスト・アルバムにあたる。
オープニングの「HERO (ヒーローになる時、それは今)」の大ヒットの
勢いでベストを出そう! というレコード会社の思惑があった…かどうかは
知らないけど、それまでのシングル曲中心の選曲になっている。

① HERO(ヒーローになる時、それは今)
甲斐バンドの最大のヒット曲。最近、ビールだか発砲酒だか忘れたが、
約30年ぶりにCMソングになっていたが、やはり我々の世代だと
この曲は腕時計のCMの方に思い入れがあるのだ。それでも今の若い子が
甲斐バンドに興味を持つきっかけになってくれれば嬉しいんだけどね。
この曲はアルバム全体でも割と“異色”な存在だ。良い意味でも
悪い意味でも「甲斐バンドらしくない」と思う。当時の状況を考えれば、
CMが先に決まって曲を作ったか、曲を作ってCMが決まったのか
それは今になっては別にどうでもいいが、とにかくメジャーなメロディー、
前向きな歌詞…、こういう流れでいくんだなとこのアルバムを聴くと
肩透かしを喰う。とはいえ、やはり甲斐バンドを語る上では欠かせない
曲のひとつだ。
② きんぽうげ
今は亡き大森信和のギター・リフのイントロが心地良い曲。結構長い間に
わたって甲斐バンドのコンサートのオープニングにもなった。
この曲に限らず、この頃の彼らの曲は「女の方から別れる」という
パターンが多く、この曲もいきなり“あなたに抱かれるのは今夜限りね”
そんなこと言われたら、萎えるよなぁ(笑)。
でもこの曲は“ギターモノ”なのだ。決して派手さはないものの、
ここでの甲斐よしひろのヴォーカルに負けないギターソロは必聴だ。
ちなみにタイトルの“きんぽうげ”が長い間分からなかったので、
ネットで調べてみたら…キンポウゲ科の双子葉植物の総称。
植物の名前だったのか? 納得したような、そうでないような…。
③ ガラスの動物園のテーマ
「ガラスの動物園」とは1976年の彼らの3rdアルバムのタイトル。
トランペット(?)だと思うが、わずか45秒のインストゥルメンタル。
しかも制作側の意図なのか、音質レベルを低くして録音されていて、
耳を澄まさないとよく聞こえない曲。プレイヤーの故障ではないので
短気を起こさないように(笑)。
④ らせん階段
かき鳴らすようなギターがフェード・インして始まるこの曲は、
何かシニカルに、斜に構えて生きているような男をイメージするが…。
“愛する喜びも憎しみも 痛みとひきかえ 傷つけることだけを
ただ覚えた僕は 毎日を指折り数え どこへ行くんだろう”
発表した当時甲斐は23歳。随分達観した23歳だったんだなぁ。
でも名曲だよ(ってさり気ないフォロー)。
⑤ ポップコーンをほおばって
男と女の悲しい別れの物語。音はハードな印象だが、ここでの甲斐の
ヴォーカルは甘く美しいが、切ないです。
⑥ ダニーボーイに耳をふさいで
歌詞、アレンジともこの頃のフォーク・ソングにありがちなものだが、
それ以上の良さもこの曲にはあるような気がするのだが…。
時代が追いつかなかったのかなぁ?
⑦ 裏切りの街角
甲斐バンドの最初のヒット曲という意味で、大きな意味はあるものの
やはり古臭いという印象は拭えない。カラオケにもこの曲はあるが、
周りの人間も知らないと、この曲は歌っちゃいけません。(俺だよ俺!)
⑧ かりそめのスウィング
甲斐バンドのクリスマス・ソングといえば後の「安奈」だが、この曲も
クリスマスにはピッタリくる。ここで歌われるように、人は周りの環境で
変わってしまうが、変わらずに信じたいものもある…。そんな願望が
この曲には読み取れるのだが、どうかなぁ…。
でもどんなに年を取っても私は甲斐バンドの曲が好き。
これだけは自信を持って言えるけどね。
⑨ メモリー・グラス
81年大ヒット曲の“メモリーグラス”とは別の曲(当たり前だ)。
ただこちらも女性の立場から歌った曲という意味では共通点があるが。
甲斐バンドの場合、それほど主観が女の方からというのは多くないし、
違和感もあるものの、この曲もしっかりと「甲斐バンドの」音だ。
⑩ 氷のくちびる
静から動へ、ドラマティックなアレンジが光る初期の彼らの名曲のひとつ。
77年シングルとして発表。これほど完成度の高い曲ならヒットしても
おかしくないし、今でも色褪せることない出来なのだが売れませんでした。
再評価して欲しい曲だ。
⑪ テレフォン・ノイローゼ
R&Bのような、そうでないような不思議な雰囲気を醸し出す曲。
甲斐のどことなくルーズな歌い回しも面白い。
“出合ってひと月目 どれほど 思ってるって聞くと
君は四週間分よって そっけなく“ってところは、
「別に…」って言ったあの女優に似合いそう?

というわけで、「甲斐バンド・ストーリー」の全曲を私なりに紹介したが、
まだまだ不十分なところもあるし、間違った解釈もあるだろうが
それはお許し願いたい。この頃までの彼らの曲でここに収録されてない
曲をひとつ紹介して今回は終わりたい。その曲とは78年発表の
『誘惑』というアルバムの「翼あるもの」である。
とにかく最初に聴いた時から、インパクトがあり忘れられない曲となった。
究極のラヴ・ソングでメッセージ・ソング。それが「翼あるもの」だ。
是非とも一聴をお勧めする。

“俺の海に翼ひろげ 俺は滑り出す
お前というあたたかな港に たどり着くまで”

KAI BAND Member is:
甲斐よしひろ(Vocals Guitar)
大森信和(Guitar)
長岡和弘(Bass)
松藤英男(Drums)

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